「MAYA MAXX展」KIDO Press,Inc.(東京)

​ NY水族館で突然起こったMAYA MAXXとラッコの出会いから始まりました。水族館にラッコが居るとは思わずに歩いていると、そこにひょっこりと現れたラッコ。すいすいと何も気にせず、ただ生きている事を楽しんでいるかのように泳ぐその可愛らしい姿に心奪われ、時間を忘れていつまでも眺めてしまいました。その姿を眺めるうちに「そうだよ!ただ生きているだけですごいことで、すごく楽しいことだよ!こういう風に自分も生きて行きたい!」と彼女の中でひらめきが起こりました。

 大好きな物こそたった一回しかない出会いの衝撃と喜びを大事にしたいと考え、以後自身のイメージの中で育まれた「らっこちゃん」たちを描いて行く事にしました。

 ラッコの動きと毛並から醸し出される愛くるしさ、そのボアっとした感じがまさにぴったり!と、数ある表現の中からMAYA MAXXが選んだ技法の一つがドライポイントです。彼女の持つ躍動的で力強いタッチが、銅版上に有機的で不規則な線を刻み、そこに詰められたインクは紙の上に黒々と盛り上がって摺りとられています。

 今回は同時に数点のドローイングも制作されました。紙の上で一本ずつ探り当てられるようにして描かれた線によって、生き生きとしたラッコの姿が次々と生み出されていきました。

 それぞれの作品に共通して現れるMAYA MAXXの描く黒い線。これには、彼女の強固な意志、苦境に立たされても挫けずに事態をしっかりと受け止め、ユーモアと智力でパワーに還元してしまう不思議な力が宿っているかのようです。

また、「色はこの世の厳しさを緩和する美しさ」と語り、それぞれのラッコの個性を慈しむかのように、カラフルな着彩が施されました。そこには強さと表裏一体と成った、彼女から溢れだす愛と優しさが表されています。